事業者の家族専従者は、雇用調整助成金をもらえない!
滞納分を返済中で、新規融資も断られ、ダブルパンチに苦しむ個人事業者のご報告です。
6月2日、新型コロナウィルスによりお客が減少し、資金繰りに苦しむ飲食店経営者Aさんのご事情をお聞きしました。
Aさんが数年前から、経営している徳島市内の飲食店は、奥様と二人でやってきました。ところが、新型コロナウィルスのおかげて、3月と4月は、昨年同時期の半分以下に売り上げが減少。昼と夜両方営業していましたが、夜間は閉めて、奥様も休職状態になりました。
資金繰りに困ったAさんは、「持続化給付金」を申請し、受け取ることができました。しかし、毎月の駐車場、家賃、光熱費、仕入れ代金等に加え、住宅ローンや過去に借りて滞納してしまった分の返済も、毎月行わなければならないため、この給付金だけではとても足りません。
そこでAさんが考えたのが、新型コロナウィルス対策ということで用意されている、日本政策金融公庫の特別貸付や銀行が貸し付けして信用保証協会が保証する資金を申し込むことでした。
ところが、制度利用を申し込むと、過去に借り入れをし、取引を続けている日本政策金融公庫にも、〇〇銀行にも、「滞納分返済が終わるまでは新規融資はしません」と断られてしまいました。
それでも政策金融公庫分については、利息分だけ支払えば、当面元本返済を猶予してくれることになりました。住宅ローンを返済中の△△銀行も、利息だけで元本返済を猶予してくれました。しかし、〇〇銀行はそれも認めてくれませんでした。
困ったAさんが、次に考えたのが、奥様の休業手当(雇用調整助成金)を申請することでした。ちょうど今日、私がお邪魔したタイミングでしたので、ご本人の目の前で、県議と名乗って、私が、ハローワークと労働基準監督署に電話をしました。
しかし、ハローワークでは、「家族は雇用調整助成金の支給要件となる雇用保険をかけられない」と言われました。そして、「雇用保険をかけてなくても労災保険に加入していれば受けられるよう要件が緩和された」というので、ハローワークの勧めで、労働基準監督署に電話しました。しかしこれも、「奥さんは経営者側になるので、労災加入はできない」ということでした。要件緩和でアルバイトの方などは、該当しやすくなるのでしょうが、家族専従者には恩恵が及ばないということです。
Aさんは、いま、残された可能性である家賃支援に望みをつないでいます。私は、県企業支援課に電話をして、「金融庁に実情を伝え金融機関の指導をお願いしてほしい」と要請しました。県は、「わかりました」との回答でしたが、ご相談を受けても、すぐにお役に立てないことに胸が痛みました。
これまで、知事への、県議会全会派による申し入れが2度おこなわれました。その際に私は、県内のある建設業者が、過去の滞納分を返済中であることを理由に、金融機関から融資を拒まれている実情を、2回とも、口頭で知事に訴えてきましたが、いまひとつかみあいません。
私は、まずは、国の制度運用の改善を要望するのが、県の仕事。それでも状況が変わらなければ、県が単独でも、こうした業者の救済に動くべきだと、思います。「私のところだけで、2例あるのですから、何百例もあるはずですよ」と県の担当者には、強くお話ししました。