「県外の人は診療しません」。県北の病院で受診拒否。保健所の介入でようやく受診できた男性からの報告です。
5月23日、関東から来ていた男性が、動物に噛まれた手が腫れあがったため、県北のある民間病院を受診しようとしたところ、窓口で受診を拒まれる事態がおきました。これでは、県外人の場合、来県は文字通り「命がけ」ということになります。
この男性は、関東に住んでいますが、実家の親が重篤な状態になり、介護のため介護休暇をとって、5月はじめに来県。特に熱があったわけではありませんが、万が一にも新型コロナウィルス拡散をさせないよう、アパートを借りて2週間外に出ずに過ごしたあと、実家で親の介護にあたっていました。
ところが、その中で5月22日、実家の飼い猫同士のけんかを止めようとして手を噛まれる事故が発生。その夜は様子を見ましたが、翌日手から腕にかけて腫れが出たため、急いで近くの病院に行きました。
病院では、受け付けで発熱がないか体温を測定して発熱がないことを確認したあと、保険証を出したところ、県外から来ていることがわかりました。男性は、帰県の事情を説明したうえで、徳島に来て20日以上たっていると説明しましたが、「診察はお断りします」との回答。男性が「受診拒否ですか」というと、「拒否です」「保健所に電話してください」との答えでした。
男性が、「保健所に電話して何を聞けばいいんですか」と尋ねても無回答。憤った男性は「責任者に受診拒否だと文書で書いてほしい」と受付に要求したあと、それでも、保健所に電話をしました。男性から一通りの説明を受けた保健所が、その後病院に折り返しの電話。それによりようやく、病院も納得し、男性は、診察を受けることができました。
非常事態宣言が解除になっても、知事は、県境を越えた不要不急の往来の自粛を求め、県外客にたいし県有施設の利用を引き続き自粛してもらうと言っています。
しかし、例えばこの男性の帰県などは不要不急ではないし、十分な感染予防をしているなら、公共施設の利用も認められるべきでしょう。
知事の例によって「強すぎる」メッセージにより、「県有施設で利用拒否していいなら、うちの病院も利用拒否していいだろう」という誤った解釈を医療機関にまで広げているのかもしれません。