無所属
板野郡選挙区当選4回
県議会1人会派「護民官」

2020.04.30 | 議会報告

4月30日県議会本会議で旧海部病院の改修について反対討論した原稿です

以下、4月30日県議会本会議で、旧海部病院の改修について反対討論した原稿です。ほぼそのままです。
議案第3号、令和元年度徳島県病院事業会計補正予算に、反対の立場で討論いたします。
この議案は、旧海部病院を、新型コロナウィルス感染症患者の滞在施設に改修するための予算8憶5千万円について、議会の承認を求めるものであります。

県病院局の説明によると、海部病院移設後、使われなくなって3年間放置されている4階建ての旧海部病院の建物を改修して、新型コロナウィルスに感染した患者のうち、軽症者や無症状者のための宿泊・療養施設として、風呂トイレ備えた個室を、3階と4階に、それぞれ30室ずつ、合計60室作ります。1階と2階には、スタッフルーム等を作ります。

改修されたこれらの施設は、新型コロナウィルスの流行が終息したのちには、宿泊施設、サテライトオフィス、地元の交流施設、津波避難所等に活用するといいます。
経費の内訳は、5千万円が設計費、そのほかは、電気水道空調等の設備費、内装費、外壁工事と屋上防水、ベッドや机などの備品で合計8億円だと、委員会で説明されました。
これは一見、新型コロナウィルス対策と今後の地域振興施設整備の両方を狙った、一石二鳥の事業のようにも見えますが、内実はそうではなく、私は、反対です。

第1の反対理由は、施設が使えるようになる時期が遅すぎることです。今年11月中に4階の30室、年度内に3階の30室が使えるようになるといいますが、いまから6カ月以上先のことになります。これでは、11月までに、もしも、急速な感染拡大が県内で起きた時には、とても間に合いません。

第2の反対理由は、1階と2階は、南海大地震による大津波が発生すれば被災するとみられていることです。南海大地震がいつ発生してもおかしくないなか、これでは、最悪の場合、せっかく整備しても、無駄になる恐れがあります。

第3の反対理由は、費用対効果の問題です。今回の補正予算は、あくまで緊急に新型コロナウィルス対策に取り組むための予算です。ところが、旧海部病院の改修予算は、新型コロナウィルス流行の終息後にも使える、恒常的な建物や設備等に費やすものですから、その費用を単純に1室あたりにすると、1416万円もかかります。軽症患者の一時滞在場所を確保するためにお金を使うなら、一泊7500円で借り上げられるホテルを確保する方が、よほど安く、早く、しかも弾力的な対応が可能です。

実際、この度のホテルの借り上げ計画では、部屋代だけみれば4億500万円で600名を90泊させられるといいますから、8億5千万円なら同様に1259名を、必要時応じ人数も期間も弾力的に変化させて部屋を確保できます。旧海部病院の改修に費やす資金があれば、約20倍の人数の患者が宿泊できるホテルの費用が賄えます。

今回のホテル借り上げの予算については、国が2分の1を補助しますが、旧海部病院については、県単独の予算です。費用対効果の面で、大きな問題があります。

第4の反対理由は、新型コロナウィルス終息後の地域振興の面でも、本当にこうした施設が必要なのか、地元の意見を反映させて十分検討や検証がなされていないように思われることです。実際、何故地域のホテルを借りてあげないのかなど、声が上がっているようです。

60室もの宿泊施設を作っても、将来宿泊者が見込めるわけがないから、サテライトとオフィス誘致とか地域住民の交流施設などにつかうとか、色々言っているのではありませんか。しかし、そのためには、さらに施設を改修する追加投資が必要になるはずです。したがって、地域振興の面でも、この施設整備は、住民の意見をよく聞いた上で、時間をかけて十分検討し、拙速は避けるべきです。

以上いくつも反対の理由を述べましたが、施設の部分供用開始時期を11月中としていることや、南海大地震の発生を想定していないこと、他にも県が風俗やパチンコ店に利用者への自粛要請をするだけで、休業要請をしていない数少ない県になっていることをみると、もしかして、県として、危機意識が不足しているのではないかとさえ思えて、心配になります。

何はともあれ、この緊急事態時ですから、地域振興への投資は、別の時期に別の形で行えばよいと思います。

先日、県内の民間一般病院を受診した県外在住の患者さんから、県下で5人目の新型コロナウィルス感染患者が発見され、その後、残念ながらこの患者さんは、亡くなられました。幸い、この医療機関が、発熱外来を設けて、しっかりした対応をしていたからこそ院内感染は防止されましたが、病院局として新型コロナ対策の予算を組むのであれば、まずは、官民を問わず、医療の最前線で、風評被害や感染の危険と隣り合わせに、大変な苦労をしておられる医療関係者の直接の支援にこそ、保健福祉部と連携して、いっそう知恵を絞るべきであるということを、最後に強く申し上げておきたいと思います。
議員各位のご賛同をお願いして討論を終わります。

というような内容でしたが、残念ながら議案が採択されてしまったので、作るからには、今後少しでも役にたつものになるよう現地調査して点検していくつもりです。周辺のご意見もお聞きします。