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平成17年11月議会12月16日  日本共産党扶川敦県議討論 給与問題 
◆六番(扶川敦君) 私は、日本共産党を代表しまして、議案第五十三号、第五十四号、第五十五号、第五十六号には反対の立場で、また請願第六十八号及び第四十五号については不採択にすることに反対をし、採択を求める立場で討論をいたします。
 議案第五十三号から第五十六号は、職員の給与に関する条例の一部改正であります。さきに質疑もさせていただき、総務委員会でも質問いたしましたが、依然として疑問が残されております。
 第一に、既に本年分の条例改正で県下の民間企業との格差はなくなっておりますのに、どうしてさらに平均四・八%の減額になる改正をしなければならないのか。国の人事院勧告に準じただけというのでは、余りにも地方分権時代に主体性がなく、説明になっておりません。
 第二に、来年春の人事委員会の調査、そして秋の勧告によって、民間企業よりも大幅に職員給与が引き下げられてしまう状態が是正されるかどうか、全く疑問であります。比較対照として従来と同様の民間企業などをとるならば、大きく引き上げをしなければならないはずでありますが、今の国の動きを見ておりますと、比較対照自体が変えられてしまい、引き下げられたままになる可能性が考えられます。
 第三に、その場合、新規採用の職員さんなどは、生涯賃金が大きな影響を受けるはずですが、こうした議論の基本となる数字もついに明らかにされませんでした。
 第四に、改正による地域経済の影響についても、明快な説明がありませんでした。徳島県下の県職員は、第五十三号関係の職員が三千七百五十七人、第五十四号関係の技能労務職員が千二百四十一人、第五十五号関係の学校職員が七千六百八十二人、第五十六号関係の地方警察職員が千七百七十三人おります。合計すると一万四千四百五十三人という大変な人数になります。県下の民間も含むすべての雇用労働者数は、ちょっと古いんですが、平成十二年度の国勢調査で二十七万五千八百人でありましたから、県職員などが占める割合は五%を超えます。県職員は、いわば県下最大の事業所のようなものだと言っていいと思います。
 ちなみに、愛知県豊田市に本社を置く日本のトップ企業であるトヨタ自動車が愛知県下で雇用している数は、直接問い合わせをしてみますと約六万二千人ということでした。愛知県の人口は七百十五万人余りでありますから、人口比率は約〇・九%、これに対して徳島県職員などが県人口に占める割合は一・八%、二倍であります。トヨタ自動車の賃金動向というものは、それこそ地域経済への波及ということで、恐らく強い関心を持たれておると思いますが、県職員の雇用労働者に占める割合は、その倍であります。トヨタの賃金が関連企業に直接波及するなら、同様に県職員の給与の動向は県下に、ことし四月一日現在正規として一万七百八十一人おります市町村の職員給与の動向にも波及すると思います。県・市町村職員合わせますと、県下の総雇用労働者数の約一割になります。公務員の給与水準が下がると、今改善傾向に向かっていると言われる民間賃金の足を引っ張り、悪循環に陥ってしまうことも懸念されます。いずれにせよ、地域経済に大きな影響を与えざるを得ません。
 以上のような理由から、県職員給与引き下げの議案には賛成をいたしません。
 次に、請願第六十八号でございますが、本当の男女共同参画社会を進める決議であります。この請願は、採択を主張します。
 その理由は、第一に、先ほども臼木議員がおっしゃいましたが、九月議会で男女共同参画社会基本法の理念に反する意見書を採択をしてしまった当県議会の姿勢は、改めるべきだと考えるからであります。十月に県議会が採択した真の男女共同参画社会の実現を求める意見書は、男女共同参画社会基本法について、日本人が持つ伝統的価値観にそぐわない偏向理念を持っていると攻撃し、その改廃を求めた阿南青年会議所関係者からの請願を受けて、この請願の理念に配慮をした計画づくりを求める内容でありました。今回、審議の対象となっております請願第六十八号が、その請願理由の中で九月議会における意見書について、男女共同参画社会基本法が示す精神とは異なったものになっていると指摘しているとおりであります。したがって、これも請願第六十八号が請願理由の中で指摘しているように、男女共同参画社会基本法の推進こそが多くの県民が求める本当の男女共同参画社会であると認識をしているならば、十月議会に採択した意見書は破棄をして、改めて今回の請願を採択し、基本法の精神を大切にする県議会としての姿勢を示す決議を行うべきであります。
 第二の理由は、百歩譲って基本法に対する評価に違いがあるとしても、請願第六十八号が県議会の決議に盛り込んでほしいと求めている要望事項、これはいずれも男女共同参画社会を真剣に希求するものであれば、当然のことばかりだからであります。請願第六十八号は、第一に、男女が性別にかかわりなくお互いの人権を尊重し合う社会を推進すること、第二に、女性の管理職登用を進めるとともに、県の審議会等における女性委員の割合を四〇%以上とすること、第三に、性別による固定的役割分担意識にとらわれない社会をつくることの三点を盛り込む決議を採択するよう求めています。たとえ基本法に対する認識に違いがあっても、こうした内容を含む決議を上げることまで拒む理由はないと思います。
 以上のような理由から、請願第六十八号は採択すべきと考えます。
 最後に、請願第四十五号は、義務教育費国庫負担制度の堅持を国に求める意見書を採択してほしいというものであります。
 同請願は、昨年十月に出されたもので、地方六団体の主張どおり教職員給与の国庫負担を廃止すれば、税収によって都道府県間に格差が生じ、増収となるのは、大都市圏の七都府県のみであり、徳島県などは大幅な減収となることが予想されているとしていました。その後、地方六団体と国とのやりとりの中で、小中学校教員の給与の半分を国が負担しておったものを三分の一に減らす方向で決着してきたわけでございますが、問題は何らその性質を変えておりません。税源移譲を仮に所得譲与税で行うにしても、人口割で行いますと、児童一人当たりで比較的多くのお金が必要になる地方部では、従来の配分と比べて減収になってしまいます。これを地方交付税できちんと格差是正してくれるのかどうか、まるで今のところは不透明であります。
 また、交付税額全体が大きく削減される方向にある中では、結局減収になってしまうのではないかという懸念がぬぐい切れません。そもそも義務教育に関しては、全国的な一定水準を担保するために、国がその財源に責任を持つべきであります。これまで一般財源化された図書費や教材費を見ますと、中央教育審議会の答申も、自主財源が教育関係に回っていない実態があると指摘するとおりでありまして、教育関係者が危惧するのには十分な理由があります。
 国庫負担金は、義務的な経費であり、税源移譲しても需要度が高まるわけではありません。中央教育審議会は、税源移譲で実現するのは教育費を減らす事由だけだと指摘しておりますが、まさにこれまでの実績は、それを示しております。請願第四十五号を採択することにより、国庫負担金制度の堅持を求めることは、国による財源確保の責任を果たさせるためにも、有効であると考えます。
 以上、反対の理由を申し述べました。議員各位の御賛同をお願いいたしまして、討論といたします。(拍手)