平成17年11月徳島県議会 日本共産党 扶川敦県議 本会議質疑


◆六番(扶川敦君) お疲れのところでございますので、しかしながら若干質疑をさせていただく理由をつけ加えながら、できるだけ手短にやらせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 追加提案されました職員の給与条例を改正する第五十三号、第五十四号、第五十五号、第五十六号議案に関して質疑をさせていただきます。
 初めに、条例改正の全体としての特徴に関してお尋ねをいたします。
 十月に出されました県人事委員会勧告は、人事院の勧告に準じて給与構造の改革をしたと書いております。その人事院勧告は、財界首脳もメンバーにした小泉内閣の経済財政諮問会議が、人事院において民間企業における賃金体系の改革の動向を踏まえ、公務員の給与体系の見直しを求めるとした骨太方針二〇〇五の総人件費削減の方針を受けたものであります。これに対して、労働界からは、人事院が労働基本権を制約したその代償機関としての機能を投げ捨てたものである、むだ遣いのツケを労働者にしわ寄せする財界の賃下げ攻撃と構造改革に迎合したものであるといったような厳しい批判が聞こえてまいります。
 そこで、お尋ねをいたします。
 今回の人事委員会勧告は、人事院勧告のほとんどコピーのような内容のように思われますが、したがってこれを受けた給与条例の改正についても、むだ遣いのツケを労働者にしわ寄せするものだと、そういうふうに批判をされている国のやり方に県が追随をする内容になっているのではありませんか、お答えください。
 次に、そもそも先議されました本年度の給与改定については、民間の給与よりも職員給料が〇・三七%高いという県人事委員会の調査結果を踏まえたものでありました。この改定も、経済財政諮問会議が地方公務員について、人事委員会の機能を発揮し、地域の民間給与水準を的確に反映させるよう要請したその内容を受けて行われたものであります。それにしましても、この改定によって、公民格差は解消されるわけですから、そこからさらに給料を削減するという改正はどうして必要なのか、私にはよくわかりません。職員の給与を民間以下に引き下げてしまうものではありませんか、お答えをください。
 次に、今回改正の本県経済への影響の問題でございます。
 人事院の勧告は、民間賃金の最も低い地域である北海道東北ブロックの官民格差の三年平均を指標にして、俸給水準を平均四・八%引き下げ、その最低の水準の上に都市部と田舎では最大一八%もの格差が出る地域手当制度を上乗せする制度を勧告いたしました。その結果、国家公務員の場合は、全国トータルしますと総人件費は変わらないということであります。県人事委員会の勧告も、俸給表の水準を四・八%引き下げた分を原資として、地域手当などの新設をするということを基本的考えの中で述べております。しかし、この級地は人事院規則で定めたものをそのまんま使いますために、徳島県では人事院が決めた最大の一八%はもとより、最低の三%の地域手当にも該当しませんので、四・八%丸々引き下げになるのではないでしょうか。今春闘の結果を見ましても、地域別最低賃金の目安が、四年ぶりに引き上げとなるなど、民間賃金の改善傾向が見られますが、そうした中で、公務員の給料を民間以下に下げるようなことをすると、こうした動きに水を差すことにはなりはしないのでしょうか。当然市町村の方にも影響すると思われます。県はいわば県内で最大の事業所であります。県職員の所得が低下することによる購買力低下など、地域経済への影響は甚大ではないでしょうか、お答えをください。
 また最後に、今回の改正により、一人の職員平均でどれだけ給与が下がることになるのか、また職員が生涯に受け取る給与はどのくらい減少するのか、お答えをいただければと思います。来年度についての影響額についても、財政を議論する上では必要かと思いますので、できればお答えをいただきたいと思います。
 答弁により再問をさせていただきます。
   (吉田企画総務部長登壇)
◎企画総務部長(吉田悦教君) 扶川議員の質問に順次お答えさせていただきます。
 まず、今回の職員の給与条例の改正は、国の財政危機を労働者にしわ寄せするやり方に追随しているのではないのかという御質問でございますが、本県職員の給与につきましては、民間企業の賃金支給状況を正確に調査し、県職員の給与の支給状況と比較した上で行われる人事委員会勧告に基づき決定したところでございます。
 人事委員会が実施いたしました本年の民間給与実態調査によりますと、県内の民間企業におきましても、ベースアップの中止や給与抑制措置がとられるなど依然として厳しい状況が認められているところでございます。こうした状況や人事院勧告の内容などを総合的に勘案した結果、今回の給与構造の見直しが勧告されているというところであり、本県としては、この勧告の内容を尊重し、昨日追加提案いたしました改正条例案のとおり給与改定を行うこととしたところでございます。
 次に、今年度分の職員の給与条例の改正で、民間企業との給与格差を埋めたのに、なぜさらに引き下げを行う条例改正をするのかという御質問でございますが、今回追加提案いたしました平成十八年度の給与改定につきましては、公務員の給与に関しまして、勤務成績が十分に反映されていないのではないか、年功的に給料が上がっていくのではないかといった問題が指摘されておりまして、こうした内容も踏まえまして、今回制度創設以来五十年ぶりと言われる給与構造の改革が勧告されたところでございます。
 地方公務員の給与につきましては、地方公務員法に規定されております均衡の原則によりまして、国及び他の地方公共団体との職員の給与との均衡も考慮しなければならないこととされております。こうしたことから、平成十八年度の給与改定におきまして、給与構造の改革を実施するといたしたところでございます。
 三点目に、次に今回の職員の給与条例の改正は地域経済に大きな影響を与えるのではないかとの御質問でございますが、地域経済の動きは国内全体の景気の基調、金利、海外の景気や県内企業の動向など、さまざまな要因により決まるものであり、一概に一つの要因をもってこれに大きな影響を与えるということはできがたいと考えております。
 最後に、全体でどのくらいの影響額があるのか、職員一人の生涯賃金で見てどのくらいの影響額があるのかという、あるいは月額でどのくらい下がるのかという御質問でございますが、今回の給与構造の改革によりまして、平成十八年度から新しい給与制度に切りかわるわけでございますが、あくまで平均で四・八%の引き下げということで、例えば高齢層職員の方については七%の引き下げという面もございますし、職員個々の改定額には大きな差があり、その積み上げを行うことは非常に難しいこと、新しい昇給制度は勤務成績をきめ細かく反映させることから、複雑な制度改正となっており、その詳細な運用方法については今後検討していく部分も多いことなどから、この給与構造の改革における全体の影響額、生涯賃金の影響額などの試算は困難であると考えております。
 以上でございます。
   (扶川議員登壇)

◆六番(扶川敦君) 御答弁をいただきましたが、今最後に数字をお聞きしたのについては全く答弁がございませんでした。実は、一部労働組合の方で全国的な試算をした事例もございますが、自治労連の試算では、生涯賃金で平均千二百万円以上のカットになるというようなことも言われております。今度の改正の特徴として、新規に入られた方はそんなにダウンしないんだけれども、中高年になるにつれてだんだんダウンの幅が大きくなって、現時点で新しい制度のもとで基準で見れば、既にオーバーをしている人は昇給が頭打ちになっていくわけです。一人一人の職員さんにとったら非常に大きな影響がある問題でありますが、こうした基本的な影響について真剣な議論をしていくのであれば、今お願いをしたような数字も示さずに議論はできません。ここでお尋ねしても出てこないと思いますが、引き続き総務委員会等で議論をさせていただきたいと思います。
 若干ちょっと補足でお尋ねをしたいんですけれども、今度の条例改正の目的の中に、県の財政を改善するんだという意図も入っているのかどうか。
 もう一点は、県の人事委員会というのは、申すまでもなく、人事院の下部機関ではなくて、独立した機関でございますが、国の基準の丸写しのように見えるようなこうした勧告ではなくて、自主的な基準、給料の基準というものを持つことはできないのか、この二点についてお尋ねをしたいと思います。よろしくお願いいたします。
   (吉田企画総務部長登壇)
◎企画総務部長(吉田悦教君) 二点御質問をいただいております。
 一点目の今回の給与構造改革については、財政改革の面からの側面があるのかということでしたが、人事委員会の勧告にございますように、そういう側面は一切ございません。
 二点目の人事委員会の性格といいますか、そういうものについてでございますが、これは御承知のように、労働基本権を制約されていることについての代償措置ということで、当然地方公務員の労働基本権が制約されていることに関する代償措置ですので、人事院とは全く別個の機関であることは当然でございます。今回の人事委員会勧告についても、もちろん先ほど申し上げました均衡の原則等もかんがみて、人事院の勧告と同様なとこも多いんでございますが、徳島県の特性を踏まえたところも当然ございますし、それは人事委員会の勧告を見ていただきますと、そういうところは人事院と全く同じということではないというふうに承知しております。
 以上でございます。
   (扶川議員登壇)
◆六番(扶川敦君) 今、同僚議員から、何でパーセントが一緒になるのだというような声も出ましたが、全くそのとおりであります。どっからどう見てもこれは丸写しと言われても仕方がないような勧告になっております。地方分権の時代ということが強調されるのに、どうしてこういうことになるのか、ここで意見を申し上げたらいけないことになってますので、これ以上申しませんが、甚だ疑問でございます。
 また、今回の勧告、そして条例につきましては、年功賃金を改めて、功績によって給料を変えていくという仕組みが本当にいいのかどうか、幾つもまだ残っておる疑問があります。それにしても一番私よくわからないのは、国家公務員の場合は、トータルとしてある地域では上乗せせずに、ある地域では上乗せをするというような形で、全体として給与の総額は変えない。ところが、徳島の場合は、全体として四・八%下げながら、乗せるものがないんですね。これはいかにもおかしい。どう考えても少なくとも人事院がつくったこの上乗せの地域手当の基準と違うものが徳島県には必要なんじゃないかと。素人でございますが、素朴にそういう疑問を持ちます。先ほど部長さんの方から、民間の給料の状況と比べても今回の話は妥当なんだという御答弁もありましたけども、まさにそれを調べて〇・三七%高いから下げたんじゃないですか。それで合わせてるところからさらに下げれば、明らかに民間より下がってしまうじゃないですか。私はそうならざるを得ないと思います。意見を申し上げてばっかりで、質疑になっておりますので、そろそろやめさせていただきますが、今後、総務委員会の中で議論をしたいと思います。ありがとうございました。